欲を抑えるときのコトバ〜ホッと息ぬき老子さん。
私は疲れた日に流し読む本を決めていて、日めくりカレンダーみたいにパッと開いたページだけ読んだりします。
ちょっとタメになってアタマが良くなった気分になる本!
老子・荘子の言葉100選 (知的生きかた文庫) [ 境野勝悟 ]
今日パッと開いたコトバは老子のコトバ。
「われに三宝あり。持してこれを保つ」
「老子」という書にあるコトバ。
訳すると“わたしには三つの宝がある”というんですけど、どういう意味なんでしょうか?
老子がもっている三つの宝って、なんなんでしょう?
一に曰く慈、二に曰く倹、三に曰くあえて天下の先とならず
この本では見出しのコトバ以外は省略されてますが、同章につづいて書かれているそうです。
- 「慈」とは人をあわれむやさしい心である
- 「倹」とは自分の欲望を少しひかえ目におさえる
- 「天下の先とならず」とは世の中の流行の先や人々を抜いて自分がトップに立とうとしない
上の3つの性質というか自分の在り方を、老子は「宝」だと言っています。
中でも大勢の人間に必要がありそうなのは2番目の「倹」かな?
倹約ってワードがあるのでイメージしやすいです。
「食べすぎた〜」「飲みすぎた〜」「買いすぎた〜」と後悔している声が日々あちこちから聞こえますけど、なぜかくり返してしまうんですよね。
3番目の考え方は資本主義のご時世じゃぁ賛否が分かれそうですが、老子は先頭やトップに立つことがいけないと言っているのではないといいます。
他人と競争するよりも、自分の中身をみがいて自分の成長のために努力して自然とトップに立つのはいい、ということらしいのです。
他人と競争するってことは他者評価を気にして自分を犠牲にしているともいえます。おまけに他人はつねに成長しつづけるとは限りませんからね。
自分と競い合う意識でいれば昨日より今日、今日より明日、と終わりもなく成長しつづけられる。自分と勝負して気づいたら人の先頭を走っていた、ってことは私にも経験があります。
他人より自分に集中が大事!
▲老子・荘子の言葉100選 (知的生きかた文庫) [ 境野勝悟 ]
老子を150文字以内で知る!
老子とは中国の大昔の哲学者(思想家)で、道を説いている人として有名です。
古くさい人かと思いきや、ゆとりや悟り世代的なゆたかな発想も。
そのコトバはまさに奇想天外!
あまのじゃくで枠にとらわれない考え方が、既成概念でいっぱいいっぱいのアタマと心をほぐしてくれます。しかも本質をついていて「ナルホド」って思えます。
欲を抑えるコトバ「われに三宝あり。」老子でも自制を心がけていた!
大昔の偉大な人でも心がけていた“自分の欲望はひかえ目の方がいい”という考え方は物があふれた現代にも必要ですよね。
欲を抑えたいと思っても、物欲、食欲、金欲、性欲・・生きているといろいろ煩悩がつきません。「宝」と称してまで心がけているってことは、偉大な功績を残してまわりに影響をあたえてきた人ですら欲望をコントロールするのに苦労していたってことなのかもしれません。
ちょっと自信が出ますね。
あるいは欲望で身を滅ぼしたりトラブルをかかえる人々をたくさん見てきて自戒しているのかも。
老子でも自制を心がけていたのであれば、凡人にはなおさら。
老子は「もっと食べたい!」「もっと買いたい!」「もっとモテたい!」と欲することはここでは否定してません。
ただ“ひかえ目”がいいといってます。腹八分目ってことでしょうか。
欲望にさいなまれたときに、このコトバをふり返りたいと思います!
▲老子・荘子の言葉100選 (知的生きかた文庫) [ 境野勝悟 ]
セールスの成功原則と幸せな金持ちになる方法「ユダヤ人大富豪の教え」②
前回につづく後半を3分で解説していきたいと思います。今回はこちら。
私のモチベーションを上げた本。2003年に発行され、今も売れ続けている本です。前回のブログで書いているときに気になって、しおりを挟んでしまったページですw
ショップ店員式!商品が売れる3つの要素「戦略・実行・情熱」
セールスの成功原則と幸せな金持ちになる方法「ユダヤ人大富豪の教え」②でもふれた、ゲラー氏の試験に合格した主人公がもつ「実業家として成功する3つの要素」。これは実業家にならなくても、社会を生きぬくために必要な考え方だと思います。
仕事で成功したいなら絶対にいる3つ要素は、これ。
- 何かをやろうと決めたら、その目標に向かって、戦略を立てること。
- それを実行すること。
- それがうまくいくかどうかについて悩んで時間を潰さずに、それをやり遂げる情熱。
まず動け!ということ。
PDCAのサイクルでいうと、Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(改善)という見慣れた順序が大事だっていうことが仕事ではよくいわれています。
でも、実際の現場で思ったのは、Do(実行)が1番大事だっていうこと!これができなきゃ始まらない。
商品陳列を担当するショップ店員に話を置きかえて見ましょう。
私がショップ店員だったとき、とある商品を見ているお客様の動きを観察していました。そこは1ヶ月以上、商品が動かない一画。立ち止まって商品に手を伸ばそうとされて止める。そんな動きに気づいて「あ、商品を手に取りにくそうだな」と。ちょっと顔を近づけて目を細めてから去っていきました。その動きで「目を細めているのは商品の説明が見づらいのかな」と気になるわけです。
しばらく売れていないけど、お客様が魅力を感じる要素がこの商品にもあるはずだ。と考え、即実行!
手に取りやすいように奥の商品に段差をつけ、前方の商品とかぶらないようにディスプレイを手直し。姿勢を変えなくても読みやすい商品説明ポップ(POP)を貼りつけると、それ以降のお客様のお買い上げにつながりました。
1ヶ月以上、動かなかった商品が動いたのです!
この実例から分かるように、現場で有効なのはPDCAよりもDCAPでした。
Do(実行)→Check(検証)→Action(改善)→Plan(計画)
※しかもコミットメントのスピードを上げるなら、DCAは同時に進めるとよりGOOD!
売り場を手直ししながら想像力を働かせて「この商品を並べかえるとしたらさっきのお客様はどう動くかな」と頭の中でCheck( 検証)をしてAction(改善)を加えていくんです。
上の3つの要素に当てはめれば、
・戦略(というよりか戦術)は「手に取ってもらえなかった商品をどうやって手に取らせるか考える」
・実行は「取りにくいんじゃないかな、という予測や直感にそって考えた戦略を行動にうつす」
・情熱は「考えて行動にうつすなら上手くいかせたい!」
売り場づくりって予想どおり上手くいくとかなり楽しいんです。いつもアタマをフル回転させていてじっとしてられないパッションあふれる店員でしたw
幸せな金持ちがもつ自由への近道。まずは自分が好きなことを知れ!
「ユダヤ人大富豪の教え」には、“幸せな金持ち”になって物心ともに豊かになるには「自分が楽しい、好きだと思うことをしろ」ということ何度も書かれています。
自分が好きなことって何?
社会に出て他人の犠牲になる不自由な生き方になれてしまった悲しい大人には、こんな簡単な質問に答えられない人が多い気がします。20代前半の私もそうでした。
そのヒントがこの本にありました。
『自分が好きなこと』は、もっと静かで、落ち着いたものなんだよ。周りの人間が評価してくれなくても、それをやるだけで楽しくてしょうがない、時間を忘れてしまう、そんなことだ。
この本をはじめて読んだ当時、「私の本当に好きなことってなんだろう?」と真剣に考えました。今思えば掘り下げないと分からなかったなんて信じられません。
「好きなことと、得意なことは違う」ということもいっています。この考え方は私にとっても価値がありました。勉強は得意だけど、それは点数が高いと周り評価してもらえるという、承認欲求が満たされるのが楽しかっただけ。
子供のころをふり返ってみると国英数理社よりも、図工と美術の授業での姿勢が圧倒的に違っていたことを思い出しました。授業中も授業が終わっても教師の指示を完全ムシ!
校内でトップクラスの優等生だった私が、問題児になる時間帯。
ひたすら無言で周りの声が聞こえたり、聞こえたとしても後回しにしてしまう熱中ぐあい。あれが私の『自分が好きなこと』だと直感しました。それに気づいて半年もせずに、その時やっていた「得意なこと」だった士業をやめて新しい道に進んでいます。
まずは自分が好きなことを知ることが、幸せな金持ちがもつ自由への近道になるのかなと思います。
好きなことを知ったら、次にやること
好きなことを知ったら、次にやることのヒントも書かれています。
好きな分野が分かったら、今度はその分野で成功している人を探す
たとえば自分の才能がセールスだったとしたらセールスの名人がいればコツを聞けばいい。その人の書籍を読んだりSNSをチェックしたり、直接質問して成功のコツを教えてもらったり。成功している人ほど秘密にしないんですよね。快く教えてくれるんです。
私は営業マンのとき、社内で1番売り上げている数億円プレーヤーの上司へ質問したり観察してはヒントを得ていました。大量にメモを書く人だったので、ゴミ箱もすぐにいっぱいになっていて。はしたないかもしれませんが、人知れず捨てる前にメモ用紙をチェックして勉強させてもらっていました。
その分野で成功に必要なことはすべて学ぶ
その分野の80%以上を学んでも平均的成功。最後のつめのほんの数%が普通と大成功の差を生むからこそ徹底的に学べ、とあります。私は広く浅くなってしまって、ここが弱いんですよね。それぞれ得たスキルを給料以外でも換金できるようになってはじめて意味があるんだとつくづく思います。
小さくスタート、短期間で大きくしない
よほどビジネスセンスに優れている人でなければ、やり直しがきく範囲で小さくスタートした方がいいとあります。一気に稼ごうと急拡大すると大きなひずみができます。“捌き切れない注文は断るくらいでちょうどよく、ためを効かせた方がブームも長続きするもの”と。
自分がいなくても、もうかるシステムをつくる
一度もうかる仕組みを作ったら誰が管理してもうまくいくようにできれば、不労所得です。「社長がいてくれなきゃダメ」と言われて喜んでいるとそれ以上ビジネスは拡大むずかしい。
自営業の経営者でそんな人を見かけます。その人は年収1000万年以上稼いでいるのに自分がいないと実務がまわらず、忙しくて恋愛もバカンスもできずに体にムチ打って働いていました。「今日は社長がいなくても対応できますから休んで大丈夫です」っていっても、「いや、自分が職場にいないと何かあったときに他のスタッフが不安だろうから」っていうのが口ぐせでしたね。従業員を信用していないのか、自分がいなくて不安にさせると辞められて困ると心配してるのか。あの人あれで幸せなのかな?
こんな自由人はイヤだ!と思いました。
ちなみに、この本では自由人と不自由人の区別のくくりが意外と秀逸です。
不自由人 | 自由人 |
---|---|
会社員・公務員 | 流行店のオーナー |
大企業の社長・役員 | 印税の入る作家、画家、アーティスト |
自営業者 | 特許、ライセンスなどもつ人 |
中小企業の経営者 | マルチレベルマーケティングで成功した人 |
自由業(医者・弁護士・会計士) | 不動産収入を得る地主 |
普通のスポーツ選手、アーティスト | 有名なスポーツ選手、アーティスト |
無職の人 | 株、債権、貯金の配当を得る人 |
こうやって比べながらイメージしてみると、企業の経営者ってたしかに不自由かもしれません。取引先と従業員との板ばさみ。経営者はいかに経費を安く済ませるか考える。従業員はいかに働きを最小限にして給料を多くもらうか考えてますから。
大企業も中小企業も・・経営者は社畜みたいなものかも。
雇われ経営者をすえてオーナーになっちゃった方が自由ってことですね。
私は印税の入る作家、アーティストが理想!
あとがき
ブログを書いて一週間が経ちましたが・・過去に気づきをえた本を一回にまとめるって、ちょっとムリがあるって分かりましたwまだまだ書き足りないです。
日を改めて続編にするとか、ちょっと工夫を考えてみます。
次回は私のハマった小説。を書きたいと思います!
セールスの成功原則と幸せな金持ちになる方法「ユダヤ人大富豪の教え」①
【もくじ】
20代に読書した本のネタバレを2回に分けて5分で解説していきたいと思います。今回はこちら。
私のモチベーションを上げた本。2003年に発行され、今も売れ続けている本です。当時ちょっとウサン臭いと思いつつ、読んでみたら行動力を上げるヒントがちりばめられていました。
「ユダヤ人大富豪の教え」ってどんな本?
自己啓発本といったところでしょうか。主人公の名もない“僕”がゲラーという名のユダヤ人の老人と出会って、試されるような質問に対して気づきを得て、成功者へと近づいていくフィクションストーリー。
主人公は、海外へ成功のヒントを探しに出かけ、ビジネスで成功したゲラー氏を見つけて即行動。成功の秘訣を教えてくれと頼みます。ゲラー氏は親切そうなのに一筋縄ではいかないキャラクターで“私が出すテストにパスしたらいいでしょう”と試練をあたえてふるいにかけます。その試練がレベル高めW
彼の出したテストとは、「私はこの若者が人生で成功するのを心から応援する」と書いた紙に1000人分の署名を三日以内にもらってこいというものだった。
えぇ〜!1000人!?ってツッコミ入れました。
主人公は試行錯誤して絶望的な気分に打ちのめされつつも“なんらかの仕組みが必要だ”と、できない理由ではなく、できることは何かを考えます。そして、友人からもらった千羽づるの折り紙を無料で配るかわりにサインをもらうというヒラメキを行動にうつします。
ヒラメキアイデアが功を奏し、「実業家として成功する3つの要素」を持つと認められた主人公はゲラー氏の試験に合格するわけです。そこから幸せな金持ちになるレッスンがはじまっていきます。
ただの拝金主義の金持ちではなくて、“幸せな金持ち”になって物心ともに豊かになるにはどうしたらいいか。そのためには正しいお金の考え方と使い方を知り、「自分が楽しい、好きだと思うことをしろ」ということが書かれています。
日本にはびこる「お金は汚いものだ」という洗脳されている若者には、既成概念にギモンを感じるキッカケになるかもしれません。拝金主義ではなくて、 「お金=信頼・自由」という考え方を大富豪は教えています。
幸せなお金持ちになるための17の秘訣をもくじから予想
もくじから分かるのは、「あたりまえじゃん?」っていうこと。でも、ストリーにそって「自分だったら」に置きかえるとリアルになってくると思います。
もくじ引用
- 《プロローグ》衝撃的な出会いと最初の試練
- ゲラー氏から与えられた最初の試練
- 幸せな金持ちになるレッスン開始
- 「お金のことを忘れなさい」
- 世の中の現実と向き合う
- 《第1の秘訣》社会の成り立ちを知る
- サービスの質と量で報酬額は決まる
- 自由人と不自由人ー立場が幸せと豊かさを決める
- 自分で商売をやることは、辛く苦しい生き方になり得る
- それぞれの職業、立場には独自のルールがある
- 《第2の秘訣》自分を知り、大好きなことをやる
- 幸せに成功するために、大好きなことをやる
- 得意なことと好きなことの違い
- 「好きなこと」のもつパワー
- 「好きなこと探しの旅」に出るときに気をつけること
- 《第3の秘訣》ものや人を見る目を養い、直感力を高める
- 舵取りが悪ければ、豪華客船でも沈む
- 運や人生の周期を見極める
- 人の器、会社の器を見極める
- 直感力を養う
- 《第4の秘訣》思考と感情の力を知る
- 思考が人生を形づくり、感情が人生をコントロールしている
- 内面で起きている自分自身との会話を紙に書くこと
- フォーカスの力
- 人生を信頼する力をもつ
- 《第5の秘訣》セールスの達人になる
- その「モノ」をいかに売るか
- 深い喜びが得られる「売れる」サイクル
- 行動心理学がわかれば売れる理由がわかる
- 成功者のリズムを手に入れる
- 《第6の秘訣》スピーチの天才になる
- 自分の感情を目の前にいる人たちと分かち合う
- 日常的に話す言葉が運命をつくる
- 《第7の秘訣》人脈を使いこなす
- 人間は、同じような人間でグループをつくりたがる
- いい人脈が成功に不可欠なわけ
- 人と接するときの心構え
- 絶対的な友情は、人生で最も大切な財産
- 《第8の秘訣》お金の法則を学ぶ
- お金の感性を養う
- お金にいいエネルギーを入れる
- お金の知恵を身につける
- お金の法則を学ぶ意味
- 《第9の秘訣》自分のビジネスをもつ
- 利益率の高いビジネス、低いビジネス
- 人の喜ばせ方で収入が変わる
- 《第10の秘訣》アラジンの魔法のランプの使い方をマスターする
- 達成できたことと、達成できなかったことのリストをつくる
- イメージと潜在意識の力を使って、目標を設定する
- なぜ、目標達成に失敗するのか
- 《第11の秘訣》多くの人に気持ちよく助けてもらう
- 「一人」で成功している人はいない
- 専門家の協力をうまく得る
- 《第12の秘訣》パートナーシップの力を知る
- 愛し合い、信頼し合える関係
- マスターマインドが幸せと豊かさを築く
- 《第13の秘訣》ミリオネア・メンタリティを身につける
- 豊かに生きるための世界観をもつ
- セルフイメージを高める
- 意識の違いが人生に差をつける
- 「豊かさ意識」の高め方
- 《第14の秘訣》勇気を持って決断し、情熱的に行動すること
- どんなことでも、自分の意志で決定する習慣をつける
- 自分が望んだものなら、すぐに決められる
- 成功するには行動力と決断力がものを言う
- 《第15の秘訣》失敗とうまくつき合う
- 何を失敗と考えるか
- 現在に意識を集中させる
- 《第16の秘訣》夢を見ること
- 夢を追いかけると人生が変わる
- 人が自分らしく豊かになれる世界
- 《第17の秘訣》人生がもたらす、すべてを受け取る
- いいことも悪いことも解釈の仕方しだい
- 成功と栄光が人生にもたらす7つの関門
- 《エピローグ》最後の試練ービジョン・クエスト
- 一人の人間に与えられた力の大きさを知る
- 新たな自分と出会う旅立ちのとき
- ゲラー氏からの最後の手紙
読みかえしてみたら、30代になって理解できることが多かったです。当時は疑ってかかるところもありましたけど、社会経験が長くなって、数万人に出会った中で「おっしゃるとおりだったな」と思う点がチラホラ。若さと素直さって大切だなって思いましたw
他ベストセラーのサクセスストーリーと比較してみる
ユダヤ人大富豪のゲラー氏があたえた試練って、アメリカの学校では普通なことらしいですね。
子供のうちから実際にお金を稼ぐ・増やす授業が行われたり、学生のうちに株の授業が行われたりと、「お金」をコントロールする能力をやしなう機会に恵まれてるみたいでうらやましい限りです。明治時代や戦後にアメリカやヨーロッパのマネをするんなら、そこもマネすればいいのに!って思います。
ゲラー氏の試練は今読みかえしてみるとその意図が分かります。無名のうちに1000人に応援されるような人間ならば、投資する価値がある人材だってことでしょう。自分の時間と労力をかける人間に値するか否か。合理的に主人公を試すあたりが、金持ちと貧乏人の違いなのかもしれません。
なんだか、初回にネタバレした「夢をかなえるゾウ」のシチュエーションとかぶりますけど、こっちの方が入り口のミッションのレベルが高く、だんだんと易しくなっていく感じがしました。
「夢をかなえるゾウ」の著者は自己啓発本をたくさん読書していたそうですから、おいしいところを組み合わせて「私ならできるかも」という親しみやすい内容になっている気がします。
ゲラー氏とガネーシャに弟子入りした“僕”の土俵が、資本主義か社会主義かの違いなって思いました。読みくらべて、自分に合う本で啓発してみては。
「ユダヤ人大富豪の教え」で何が変わった?セールスで成功した実例
上のもくじ、“《第5の秘訣》セールスの達人になる”についてピックアップ。
私も過去セールス経験を積んでいます。この本に影響されたからというわけではありませんが、苦手意識を克服する一つの原動力になりました。
セールスの成功5原則
- 絶対売ると決める
- 信頼される人柄になる
- イメージを描けるように話し、感情に訴える
- 商品・サービスに完璧な知識をもつ
- クロージング(契約)のテクニックをもつ
じつはショップ店員の以前は広告代理店の営業でした。上の5つの原則はシンプルでありながら、とても重要。現場のベテラン営業マンで売れている人ほど徹底していたなぁと感じます。
成功5原則をまじえて私の成功体験(実例)を要約してお話しします。
- 2つ目の“信頼される人柄になる”では「お客様にはウソを言わない」ということを徹底していたら信頼を得られるようになった。
- 3つ目の“イメージを描けるように話し、感情に訴える”では対面ではなくて横に立って話しかけ、ラフ原稿や既成の広告・コピーを引用してイメージさせるよう努めて、年間100社以上の新規契約を獲得した。
- 4つ目の“商品・サービスに完璧な知識をもつ”ではショップ店員時代、ショーケースのブランド商品を積極的にネットでリサーチし、自分が興味をそそられたワードをそっくりトークに引用したらおもしろいようにお買上げにつながった。
- 5つ目の“クロージング(契約)のテクニックをもつ”では、商品知識を知っているだけでは足りない。「間の取り方」や「モノの言い方」「心理学」「ロジカルシンキング」など多角的な知識を読書で補っていくことで切返しトークが洗練され、契約成功につながった。(1つ目の“絶対売ると決める”というマインドを秘めておくことが大切)
セールスはやりたくない仕事ワースト5に入ってましたけど、「売り方」を知っている人間は強いと思ったし、若いうちに経験しておけば大抵の仕事への抵抗感が少なくなって可能性の幅が広がるって思ったんです。
今、仕事で関わった上司たちによく言われてきたのは「平均以上になんでもできるから助かる」と評価されます。器用貧乏みたいでうれしくないんですけどね。これからは「○○に秀でている上になんでもできる」って言われるようになりたいです!
1回で終わるはずだったんですけど、読みかえしていたら記録しておきたいことが多々出てきたので、復習がてら次回もこの本の続き「ビジネスの成功5原則」を書きたいと思います!
左脳思考のアイデア「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」森岡毅著
【もくじ】
数年前に読書した、ビジネス系の本のネタバレを7分で解説していきたいと思います。今回はこちら。
「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」森岡毅著
ショップ店員のころに私の仕事力を上げた本。2014年に発行された本を加筆した文庫版です。この本がヒットしてから「マーケティング」というワードがよりメジャーになった気がします。
「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」どんな本?
一言でいうと、数学に強いマーケター森岡氏が倒産の危機だったUSJへ転職してからの奮闘記といったところでしょうか。
2001年に大阪にできたテーマパークのユニバーサルスタジオジャパン(以下、USJと略します)。年間1100万人も来場者でにぎわっていましたが、8年後には700万人まで減ってしまって大ピンチ。黒字に回復するべくヘッドハンティングされた森岡氏を待ち受けていた壁と、その壁を乗り越えていく熱血なビジネスマインドと、マーケティングの必要性とおもしろさが書かれています。
題名が長めだし、後ろ向きがどうした?と思いますよね。
USJでは後ろ向きに走るジェットコースターが大人気で、このアトラクションの効果で一気に来場者数がアップ。ここで増やした利益でハリーポッターの壮大なエリアを作ることができ、USJをV字回復へとつなげる大きな役割を果たせたそうです。
お金がない中、知恵をしぼって、もともと前を向いて走っていたアトラクションを、数本に一本を後ろ向きに走らせてみたら大ヒットした!という逆転のヒラメキアイデアがスゴいっしょ!という・・・超前向きなお話です。
他のノンフィクション本との違いは、右脳より左脳思考が鍛えられる
森岡さんは、クリエイティブなアイデアマンタイプではなく、むしろ真逆の論理や数字で考えるアタマが四角いタイプだとご自身でおっしゃっています。完全なる左脳派タイプ。(う〜ん、直感型の私とはたぶん正反対です)
ちなみに外見はずんぐりむっくりしてコワモテですけど、関西人のユーモアと家族想いのお父さんみたいですw
アイデアなんていくらでもありそうだけど、テーマパークでの企画の実行は多大なコストがかかります。ゆえに、失敗は多大な金額のロス。だからこそ可能なかぎり失敗を減らしてお金に変えていくためにマーケティングのリサーチ力やデータ分析力、数学的な予測値を出して検証していく・・。
経営陣が「ちょっとひらめいたから、このアイデアやってみない?ウケる気がするんだよね」ってよくある甘い予測じゃありません。
直感(右脳)にかたよらずにロジカルシンキング(左脳思考)で緻密な戦略と戦術をかさねて成功につなげていく内容が他のアイデアハウツー本やノンフィクション本と違うところでしょうか。
NHKの人気TV番組「プロフェッショナル仕事の流儀」で“ナニワの軍師、再起のテーマパーク~マーケター・森岡毅”という回でも取り上げられてました。
ハリーポッターの新アトラクションがオープンし、森岡さんたちマーケターチームが数学的思考力を駆使して予測した数値にピッタリとハマった瞬間まで撮影されていて、緊迫のあのシーンには鳥肌が立ちました。オンデマンド放送で見られるみたいなので、気になる人はぜひ。
左脳思考から右脳(ヒラメキ)へとつなげるマインドマップ
この本のもくじは、戦略やら戦術を考えるマインドマップみたいになっていると思います。もくじを見るとUSJで生まれた数々のアイデアの軌跡が分かります。
もくじ引用
- プロローグ 私は奇跡という言葉が好きではありません
- 第1章 窮地に立たされたユニバーサル・スタジオ・ジャパン
- 日本人はどうしてリスクを冒さないのか?
- 私が戦う「最大の敵」
- こだわるポイントが間違っている
- 3段ロケット構想
- 9回裏二死ランナーなし!
- 第2章 金がない、さあどうする?アイデアを捻り出せ!
- 第3章 万策尽きたか!いやまだ情熱という武器がある
- モンハンを呼ぶにはモンハンを知り尽くすこと!
- 動きながら考える方が良いこともある
- 情熱が予測もできない局面突破を呼び込むことがある
- 世界一の光のツリー
- 第4章 ターゲットを疑え!取りこぼしていた大きな客層
- 第5章 アイデアは必ずどこかに埋まっている
- 一難去ってまた一難、2013年を生き抜くには?
- リノベーションというマーケティング技法
- 誇りを持って世界中からアイデアを探す
- スパイダーマンをリノベーションせよ!
- 答えは必ず現場にある
- 技術陣の大反対
- ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド〜バックドロップ〜の誕生
- 第6章 アイデアの神様を呼ぶ方法
- 第7章 新たな挑戦を恐るな!ハリー・ポッターとUSJの未来
- なぜハリー・ポッターで450億円ものリスクを取るのか?
- 世界最強のブランドで勝負できるのは今しかない!
- エクセキューション段階での失敗リスクが小さい!
- 関西依存の集客体質から脱却しないと手遅れになる!
- 戦略と情熱の狭間の決断!
- 世界最高のテーマパーク・エンターテイメントの結晶
- ユニバーサルの技術の粋を注ぎ込んだ造形と演出のクオリティー
- 世界最高のライド「Harry Potter and the Forbidden Journey」
- トイレまでがアトラクション
- 長時間列に並ばなくてもエリア入場できる整理券システム
- エピローグ USJはなぜ攻め続けるのか?
- 文庫版あとがき 打ち上げられた「ハリー・ポッター・ロケット」
- 世の中のUSJへの認識を変えたかった
- なぜその日に止まる!?
- 追い詰められた8月
下記に気になる章をいくつかピックアップしてみます。
仕事で使える!アイデアの生み出し方は課題発見→課題解決!
USJって、もともとは映画にこだわっていた気がしたけど、いつの間にやらマンガやアニメやゲーム、キャラクターのなんでもありな方向に変わっていったな〜という理由がもくじから追っていけます。
それが、第2章の“「映画だけ」のテーマパークは不必要に狭い!”という課題発見から、“USJは世界最高のブランドを集めた「セレクトショップ」”という課題解決へとつながっていました。テーマパークの在り方=コンセプトが変われば、ターゲット層も変わっていきます。
人気ブランドのセレクトショップですから、競合ディズニーとはかぶらないサンリオなど子供ウケするキャラクターを活用してファミリー層を取りこもう!となっていくんですけど、そのアイデアが生まれるまでのキッカケがあります。
第4章の“JAWS事件でわかったUSJの弱点”では、森岡さんが家族でUSJへ行った体験からヒントを見つけています。お子さんがジョーズのリアルさに怖がってしまい、映画テーマパークとしてリアルとスリルを追求したことで大人向けのエンターテイメントになってしまっていること。子供と一緒に楽しめないテーマパークになっていると気づくわけです。一般の家族づれなら気づきそうなことでも、働いてる側って気づかないことってよくあります。
第5章では、具体的なアイデアの生み出し方が書かれています。スパイダーマンのアトラクションは、すでに海外で成功していたアトラクションを最新技術をプラスしてリノベーションしたものだそうです。結果は大成功!
アイデアって生み出すのが超苦手な人もいますよね。
森岡さんがおっしゃっているアイデアの生み出し方は「アイデアは世界中をサーベイして盗め!」ということ。外資系で働いていたからこそ気づいたそうですが、日本人は何でもゼロからはじめようとしがちだといいます。
この世界中のどこかに、過去から現在に至るどこかに、似たような問題に直面した人がいるのではないか?と疑ってかかりましょう。世界中からアイデアを探すのです。
なるほど。成功ビジネスモデルには競合がはびこるわけです。
“1.どこかで成功しているアイデアを土台にした方が企画推進には圧倒的に速い。”
“2.どこかの消費者で試されている分だけ成功率が高い。”
“3.アイデアの引き出しがものすごく増える。”
と3つのメリットを上げていました。自分自身で考え出したいなんていうのは、個人のエゴだと。会社のためなら速くて確率が高い方がいいに決まっている!と。資本主義の海外でもまれてきたビジネスマンは容赦がないっす。
一流のマーケターの文章から、どんなアイデアも過去の実例の断片の組み合わせに過ぎないということに気づかされました。
私が1番マーキングした章は、第6章“数学的フレームワーク”
この章は私には画期的でした。数学的なアタマの人は、ロジカルシンキングで正解にたどり着く確率を上げています。検証には足して100になるよう仮説を立てているそうです。
どういうこと?ってなりますね。分かりやすい一節がこちら。
数学的に頭を使わない人は、例えばこんな風に仮説を考えてしまいます。
「子供づれファミリーの集客が下がっているのか?あるいは女性の集客が下がっているのか?」それじゃダメなんですね。なぜなら足して100にならないからです。
(略)数学的に頭を使う人ならこんな仮説を立てます。
「男性の集客が下がっているのか?女性の集客が下がっているのか?」
「11歳以下の子供の集客が下がっているのか?12歳以上の集客が下がっているのか?」
「子供づれファミリーの集客が下がっているのか?それ以外の集客が下がっているのか?」これらは、それぞれ足すときちんと100になりますね。ですから、子連れファミリーを調べて本当に顕著に下がっているなら、その原因(宝)を探しだせればOK、見つからなかったらもう一方のどこかに宝が埋まっていることが明らかになるのです。
私、ダメな方の思考だったわ・・・と気づかされましたw
USJ余談。ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドについて
本のタイトルにもある、後ろ向きに走ったジェットコースターのアトラクション名は“ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド〜バックドロップ〜”です。その余談をば。
このジェットコースターは、ライドしながら音楽が聞けます。しかも5曲から選べる。流行りのポップスや洋楽だけでなく進撃の巨人主題歌やら名探偵コナンのメインテーマやら、アニオタや子供にもうれしい選択が。定期的にリニューアルされています。浮遊感を楽しみつつノリノリで乗れるわけです。
じつは私も体験しました。絶叫系はキライなのに、前方に投げ出されようなスリルと浮遊感がハンパなくて、おかわりを3回もしてます(バックドロップは1回、前向きライド3回)
後ろ向きだから、高層ビルに宙吊りされたまま地上が見える姿勢でだんだんと上がっていきます。後ろに落ちても前に落ちても怖すぎます。人生であんなに絶叫したのは初めてかも。
入場口で後ろ向き(バックドロップ)か前向きのライドを選べるんですけど、前向きが2~3台で運行しているのに対して、バックドロップは1台のみ。そのため待ち時間が長いので「ユニバーサル・エクスプレス・パス7~バックドロップ~」を予約しておくと待ち時間を短縮できます。USJアトラクション時間短縮のコツならググってみるといろんなブログで紹介されてますよ。
次回は、私のモチベーションを上げた本。を書きたいと思います。
今ここにいるという、自己肯定力を強める考え方。「パスポート学」
今日は最近読書した、ちょっと変わった本のネタバレを3分で解説していきたいと思います。今回はネタバレというより雑感が多めです。今日は予定があるので、ちょっと内容薄めにいきます。
私の心を熱くした本。2016年に出版された本です。マイナーな本なのに図書館で借りることができました。Amazonでも取りあつかってました。
「パスポート学」ってどんな本?100文字で説明。
手続きすれば当たり前に発行できると思っているパスポートを通して、私たちが普段意識していない「国」のことを考えさせられる本です。複数の著者の体験談をもとに各国のパスポートの歴史についても書かれています。
読書したいと思った理由。自己肯定感を強める考え方
パスポートについて詳しく知りたい人にはまとまっている本ですね。身分証明書や難民移民についてのリアルが書かれていますが、私が本を読もうと思ったのはそこを知りたかったわけではないんです。ネットサーフィンしているときに、たまたまこの本への寄稿らしきコラムを見つけて、強く共感したからなんですよね。とても胸に迫る内容で、このコラムを書いた、谷川ハウさんという方の文章を全部読みたいと思いました。
ベトナム難民の両親の元、私は日本で生まれ育った。(略)日本は血統主義のため、親が日本国籍でなければ、日本で生まれても国籍を与えない。ベトナム国籍を継承することもできず、生まれ育った日本の国籍も与えられず、私はどこに行っても外国人。国籍の所在は不明のまま、生まれてからの28年間、二つの国の間の網目からこぼれ落ちていたのだった。
日本の国籍を取ろうとする必要もないから、日本が血統主義だということをこの本で知りました。アメリカが多国籍で自由の国だということを耳にしても驚きもないんですけど、こういう事情を知ってなるほどすごいことだなって思います。
国籍の証明、国家による保護という意味をもつパスポートは、10代の私にとって到底手に入らないもの、憧れの対象だった。私はほかの人と違って、それをもつことができない。何をしたわけでもなく、生れ落ちて気づけばそういう状況だったのだ。
私はこの状況を肯定しようと努力した。その努力は逆に自分を屈折させもしたし、新しい世界に連れ出してくれもした。国家という後ろ盾なんかなくたって、自分はこれまで生きてきたじゃないか。自分の存在は、パスポートや国の後ろ盾のあるなしで肯定も否定もされない。ないものを望むのではなく、あるものを大事にすればいい。
こうして自身に言い聞かせながらも、自己矛盾を感じたのか、より突きつめて考えていく姿勢が続きます。やがて法務局国籍係に訪れてパスポートを取ろうと行動をするんですが、国籍法の条項を引き合いに出しても門前払いをされたそうです。大学院に行かれていて優秀な方のようですね。
自分は本気を出せば、挑戦すれば、国籍を取れるとどこかで思っていた。できるけど、あえて取らないだけ。そう思っていたから、強がることができた。(略)自分の境遇を〜肯定してから、私は初めて自分の境遇を恨み、誰を責めていいかもわからず、ただ悲しかった。
ここでだいぶ気を落とされたと思うも、著者はあきらめずに行動をやめません。なんと、パスポートなしで渡航を断行されます。もちろん、ドイツへ研究旅行という公式の理由やビザの準備をして。日本からは問題なく出航できるも、ドイツで待ったがかかります。
「これパスポートじゃないわね。じゃあパスポートはないの?」この質問に「YES」と答えた瞬間、突然、世界は姿を変えた。相手の笑顔は消え、疑いの目が私を突き刺した。私は国境警備隊のような背の高い男に連れられ、別の場所に移動させられた。(略)どの証明書もパスポートのような効力はなかった。
「あなたは誰なのか」「なぜここにいるのか」その質問に、ちゃんと答えることができない。眩暈とともに世界が揺らぎ、私の足元が波立ち始めた。
このあたり、若気のいたりという気がします。読んでいてハラハラしました。尋問をされて怖い思いをしながらご本人はやめときゃよかった、と後悔したそうです。ただ、理由は不明ですが幸運にも警備隊から"You are lucky"とゲートを通してもらえたそうです。
最後にその男は私に「結局、あなたの国はどこなの」と聞いた。疲れ切っていた私はただ「わからない」と答えた。わからない。長い間、なんども考えてきたけど、、どうしたって私はその質問には答えられなかった。答えられる人なんてどこにもいないのだ。
めっちゃ正直な人なのだろうと思いました。アイデンティティを知るために、自分自身と決闘しているように見えます。その後、就職をしてから最後のチャンスと思ってご家族で日本の帰化申請をし、見事パスポートを取得されたそうです。周囲の尽力があったことだろうと思います。著者の人間性が伝わってきそうです。その後は各国へ仕事で飛び回っても、空港では当然何も起こらず世界も揺るがなくなったそうです。“パスポートは不確かな世界に蓋をしてくれた”という表現が、ご本人の心境をとてもうまく表しているように思いました。
あんな思いはもう二度としたくない。だけど、その状況を悲嘆し、自分の存在の心許なさに揺らいでいたあのときですら、自分の奥底に「それでも私がここにいるということは誰にも否定できない」という小さな火がくすぶっていたことも、思い出した。揺らいでいく景色のなかで、ただそれだけが、あの時の私を確かに支えていたのだ。
やばい、心がふるえた。この自己肯定感の強い文章に惹かれて本を取り寄せたんですよね。すごい文章力あるなと感じました。
戦争アニメや映画を見るときに気づいた方がいいこと
この本に登場する著者たちは何らかの事情で国籍がなく、自分の「国」がどこかを書類上証明できなくて苦悩したことがあるそうです。私には国がない、というのは想像しにくくて、申し訳なくも、どうしても他人事なんですよね。
でも、たとえば日本が戦争にかかわることになって、各地で空から爆撃されたり、草の根的に銃撃戦が起こって国内に隠れる場所がなくなってしまったら。徴兵するルールができて、自分の親しい人が戦いに出されることになったら。身を守るために国外に逃げる人も出てくると思います。戦争になっている状況では、手続きをして国外に出る準備をしている間もないかもしれない。戦禍を逃れてたどり着いた先で平和に定住できても、生まれてきた子は出国先の手続きができないので無国籍。大きくなってから旅行や留学、仕事をするために海外へ行こう、となったときにパスポートが取れない!そこで初めて、自分が何人なのかというアイデンティティが揺らいで葛藤する。新しい世界に出ていこうとワクワクしていた気分が一気に興ざめする感覚だろうな。それって、誰のせいでもないし、誰のせいにもできないから、心の奥でものすごいモヤモヤをかかえることなんじゃないかと思いました。あくまでも想像の域ですけど。
戦後の日本のアニメって、戦争を美化してるとこがある気がします。ほんとに戦争が起こってたら、見たくもないでしょ。「なんで戦わなきゃいけないんだ」っていう葛藤しながらも戦わなきゃいけない矛盾、みたいな。逃げちゃダメだ!的なwなんやかんや、平和な証拠かなと思います。
ネットサーフィンしていて難民のニュースなどを見かけますが、戦争の落とし前って、後世の人間たちにまでひたすら及ぶんですよね。私も実家を継ぐはずの祖父の兄が衛生兵として出兵し、南鳥島あたりで病死したことで祖父が継いで父、私が生まれました。生還していたら自分は生まれなかったし、もっと実家が栄えてたんじゃないかとか思うこともあるんですけど、考えても仕方ないことです。“それでも私がここにいるということは誰にも否定できない”という芯のある言葉には、強い自己肯定力があって、それは今不幸な目にあってる人にとっても必要な考え方だと思います。前に進む勇気をもらえるようで胸を打たれました。
次回は、「私の仕事力を上げた本。」を書きたいと思います。
コミュ障を治す。会話が苦手な原因に気づく。「伝える力」池上彰著
今日は新卒として社会に出てすぐ管理職として苦悩していたころに読書して活かせた本のネタバレを7分で解説していきたいと思います。
「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!伝える力池上彰著
私の仕事力を上げた本。10年以上前に大ベストセラーになった本です。このブログを読めば、知ったかできますw
「伝える力」ってどんな本?
知名度の高いジャーナリスト池上彰氏が書いた本です。とくにビジネスパーソンに役立つように「伝える力」=コミュニケーション力の高め方について書かれています。話すことで相手を惹きつけ、書くことで文章力を高め、聞くことで好印象を与える。そんな基本的なヒントが満載。
メディアで騒がれた有名人の発言について、実例をまじえて解説されていたり、ビジネスパーソンとして高いスキルをもっている池上氏自身が日ごろから心がけている話し方・書き方やメモの取り方などのノウハウ、社会人というか大人としてたしなんでおいた方がいい「モノの言い方」が分かりやすく書かれています。社会人の常識マナーノウハウ本にあるような内容とかぶる部分もありますが、通常なら定年退職の歳をすぎてもなお活躍されているジャーナリストの頭の中をかいま見れるってところがおいしいです。大学生のうちから読んでおくと、就活の際の面接や書類の書き方に役立つと思います。社会に出て、まわりと上手くコミュニケーションが取れない人、コミュ障の人や会話が苦手な人にも状況を好転させられるヒントがあるのではないかと思います。
池上彰さんってダレ?伝える能力が高いジャーナリスト
元はNHK記者だったそうですが、NHKのこどもニュースのお父さん役として、子供達に分かりやすいニュース番組を解説して「分かりやすい!」と評判になり、フリーになってからも執筆と情報メディアに出演してらっしゃる方。当時、リアルタイムでこどもニュースを見ていましたが、理解力が足らないのか、私には分かりにくかったです。(というか、ニュースに興味がもてない子供でした。今だったらかじりついて見ているのに・・!)
いつ頃からテレビの司会者として見かけることが増え、伝える能力が高い人として注目を集めていました。他のニュースやメディアでも池上方式を見習ったのか、模型での説明なんかが散見されましたね。本家の分かりやすさには及んでいませんでしたが。
とくに選挙のテレビ特番では「池上無双(Ikegami musou)」とネット上で騒然となるほど、政治家や立候補者へ切り口スルドイ質問を投げかけてくれる人、いう印象を私はもっています。国民が気になっても口に出すのをためらうような内容をズバっ!!普段テレビの司会のときはタレントに分かりやすく情報を教える先生の顔をしています。
言葉づかいが洗練されていて物腰柔らかい印象ですが、じつはこのジャーナリストとしての厳しい顔が表だと思っております。自他に厳しい性格が人相にも出ているかと。話す相手に合わせつつも、キレイゴトに終始せず清濁あわせのんだような冷厳さが、私としては印象よくうつることも多い著名人です。好き嫌いは分かれるでしょうがw「無双」評価にご本人はどう思ってらっしゃるんでしょうか。ちょっと気になります。(池上彰さんについてもっと知りたい方はWikipediaなどご参照ください。)
もくじから「会話が苦手な人の原因」を探ろう
もくじを見れば、あなたがこの本に何を求めているかが分かる!ということで、気になるもくじがあったら本を手に取ってみることをオススメします。
- 「伝える力」を培う
- 「日銀」とは何か、説明できますか?
- 深く理解していないと、わかりやすく説明できない
- 教科書はわかりにくい
- まずは「自分が知らないことを知る」
- 謙虚にならなければ、物事の本質は見えない
- 何を取り、何を捨てるか
- プライドが高い人は成長しない
- 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
- 「よい聞き手」になるために
- V6井ノ原さんとTOKIO国分さんの人気の秘密
- 自分のことばかり話さない
- 相手の「へぇー」を増やす
- 相手を惹きつける
- 映画や連載記事に学ぶ“つかみ”方
- 景気が回復したのは小泉内閣のおかげです?
- 「元次期大統領のゴアです」
- 10秒あれば、かなりのことを言える
- 「型を崩す」のは型があってこそ
- 言うべきか、言わざるべきか
- 会議では一人一人の目を見ながら話す
- 円滑にコミュニケーションする」
- ビジネス文書を書く
- 文章力をアップさせる
- 「もう一人の自分」を育てる
- プリントアウトをして読み返す
- 寝かせてから見直す
- 音読する
- 上司や先輩に読んでもらう
- 人に話しながら、書く内容を整理する
- ブログを書く
- 新聞のコラムを要約する
- わかりやすく伝える
- 氾濫する“カタカナ用語”
- カタカナ用語は社外の人には使わない
- 「〜性」「〜的」はごまかしが利く
- 漢語表現や四字熟語の使い方
- 「難しいことも簡単に」書く、話す
- 相手の立場になって伝える
- 図解はあくまで手段
- 矢印を使い分ける
- 図に入れる文字は最小限に
- この言葉・表現は使わない
- 「そして」「それから」
- 順接の「が」
- 「ところで」「さて」
- 「いずれにしても」
- メールの絵文字
- 上質のインプットをする
- アウトプットするには、インプットが必要
- 小説を読む
- 人間と語彙の幅を広げる
- 落語に学ぶ
- スケジュール管理がビジネスを左右する
- スケジュールは公私ともに一冊で管理する
- 年始に大まかな一年の予定を組む
- 思い立ったらすぐにメモ
もくじ、多いな!途中で投げそうになったわw
もくじを細かく設定していることにも、分かりやすくするための「間の取り方」のヒントがありそうですね。久しぶりに読み返してみて身についていることも多いと思うものの、「そんなの知ってるよ〜」とか思っていても、できているかどうかは別問題ですね。文中にも出てくる“わかったつもりは怖い”という文章に、20代のころの自分がマーキングしていて、見をつまされます。
著者が年配の文化人ということもあって、“演繹法、帰納法”なんていう国語の授業に出てきそうな単語もあります。この本がビジネスパーソンを念頭において書かれているので、大人として知っているとご年配の仕事相手なんかには「若いのに難しい言葉を知っていて感心だ」なんて思って信頼につながるかもしれませんね。
実際に伝える力は向上したのか?仕事でコミュ障を治すヒント
この本は新卒のころに職場の人たちとうまくコミュニケーションが取れずに苦しんでいて、救いを求めて手を伸ばした本でした。伝えた気になっていても、相手に真意が届かなければ無意味だということに気づきました。その伝え方が私の課題なんだと自覚することができたのが大きな変化でした。
じつはコミュ障だった私ですが、話を聞くときに無反応な姿勢を直して相づちを打つようにしたり、話す前に内容を組み立ててみたり、相手の立場になって「他人からこれを言われたら自分はどんな気分だろうか」と考えてから発言するクセがつきましたね。自分の言葉をふり返って考える、というひと手間をずっと続けていたことが、セールスでは新規開拓数No. 1やショップ店員として店舗売り上げNo. 1の成果をあげることにつながったのだと思います。最低限、お客様とのコミュニケーションが取れなければモノを売るのは困難ですから。人見知りは治りませんが、コミュ障を治すヒントにはなると思います。
私は今月からブログを書いていますが、文章を読む人に伝わっているか今のところ分かりませんw仕事でもブログを書いていたことがあるのですが、独りよがりの文章になっていたこともあるのじゃないかなと思っています。(今もそうかもしれませんが)他者に目に触れることが上達の道だと思います。ブログに限らず、働くようになって接客やプレゼン、交渉などビジネスシーンで会話が苦手で改善したい人、「口は災いの元」のように失言を治したい人には役立つ本なんじゃないかと思います。
次回は「私の心を熱くした本。」をアウトプットしたいと思います!
デザインとは?資料づくりがうまくなる「なるほどデザイン」筒井美希著
最近、読書したばかりのデザインノウハウ本を3分で解説してアウトプットしたいと思います。デザイン=楽しい!を実感できる本はこちら!
なるほどデザイン 筒井美希著
MdNコーポレーションが発行しています。この会社の発行本は当たりが多い印象があります。私の「当たり」というのは、買ってよかった〜読んでよかった〜という本。価格と読書にかけた時間の費用対効果が申し分ない本です。
「なるほどデザイン」ってどんな本?
目で見て楽しむデザインの本、と表紙にあります。デザイナーのあたまの中を豊富なビジュアルでひも解く、とも。
全体的に、読むというよりも眺めていて直感的にデザインを知ることができます。理論的にもテキストでシンプルに補われているので「はは〜ん、なるほど。」と思える仕様になっています。ベテランの方には既存の事実だと思いますが、経験の浅いデザイナーにはありがたい内容です。MdNさん、いつも良本ありがたや〜。
なによりも、デザインセンスが時代に合っていて美しい!!デザインについて書いているくせに、一番大事なデザインがダサい本とかありますから。どれとは言いませんが。
デザイン業に関係ない人でも、日ごろから資料をつくらなきゃいけない人、学校で印刷物やらポスターやらをつくる機会があって、「もうちょっと読みやすく、イカしたものにしたい」「資料づくりがうまくなりたい」という悩みをかかえている人にも役立つかなと思います。
デザインとは?がわかる本の中身について
画像やイラストなどのビジュアルの量が多いですが、それらをうまく使って、デザインのビフォアーアフターが分かりやすく説明されてます。
もくじは下記のとおり。
引用
- Chapter1:編集×デザイン
- 編集とデザインの関係
- デザインしてみよう
- Chapter2:デザイナーの7つの道具
- ダイジ度天秤
- スポットライト
- 擬人化力
- 連想力
- 翻訳機
- 虫めがね
- 愛
- Chapter3:デザインの素
- 文字と組み
- 言葉と文章
- 色
- 写真
- グラフとチャート
本の中身について、もくじに目を通しただけでも興味がわきやすいと思いました。気になる部分から読んでも理解できるようになってます。「デザインとは?」という質問にはもくじのワードを引用して答えられそう。
“デザイナーの7つの道具”に愛が含まれているあたり、職場の上司が40代以上の精神論好きな熱血タイプから影響を受けていそうな気がしますがwキレイ事が苦手な私は、クライアントや広告を見るターゲット層の視点をどれだけ考えられるか、課題解決に尽力できるか、という熱意という意味にとらえました。
一番おもしろかった章は「資料づくりがうまくなるノウハウ」
私が一番おもしろかった章は、“Chapter3:デザインの素”の“グラフとチャート”です。
“あなたは、とあるレストランの店長です。”という見出しで、一枚のレシートの画像が添えられています。“お店のこの日の売り上げから読み取れることは?”というクイズに対して、どんなグラフやチャートを使うか考えさせられる内容になっていました。
もとショップ店員だった私としては、「プレゼン資料にめっちゃ使えるノウハウだわ!」ってテンションが上がりました。(だいぶヘンなところで上がる)このグラフのノウハウを使えば資料づくりがうまくなりそうな予感がします。
- パーセンテージの比較なら『円グラフ』
- 商品の部門数ごとの比較なら『横棒グラフ』
- 昨年対比での売り上げ比較なら『縦棒グラフ』
- 客数や単価の分布比較なら『折れ線グラフ』
数値を分かりやすく資料にまとめたい人にはとても参考になる考え方だと思います。視覚的に相手に伝わりやすくなるので、プレゼンで企画を通したいなら使ってみると効果的なデザインノウハウなのではないかなと。私も今後、数値をいじって誰かを説得するときに参考にさせていただきます。
このデザイン本のノウハウが実際にどう役立った?
クリエイター向けのセミナーなどに参加することがあるのですが、“擬人化力”という考え方は、プロのアートディレクターの人たちもアイデアを整理していくときに使うノウハウのようです。人間だから、人に興味があってイメージしやすいってことなんだろうと思います。
“デザインの素”にある、文字組みと色と写真について、デザイン初心者向けの大体のデザインノウハウ本にはその重要性が書かれてます。恥ずかしながら、私は独学でデザインを習得しようと四苦八苦しているデザイナーなんですけど、最初の頃はは「デザインする」となると、なんかスゴイ技術とか知識がないとダメなんじゃないかって思いがちだったんです。でも、文字だけ並べても立派なデザインになります。学校や職場で渡される資料や用紙も、駅のホームの足元の番号も、本棚に並べたときに見える本の背表紙のカバーも、みんな文字だけでデザインされています。色で化粧して、適切な画像を添えるだけでもそれらしくなります。
「なるほどデザイン」を読めば、それがもっとよく理解できるんじゃないかな。
どのフォントにするか、何色にするか、どの画像にするか、「選択」が大事なんだーって、駆け出しデザイナーの私は現場で得た、大いなる学びでした。現場じゃなくてもそうした基本的なノウハウが詰まっています。
デザイナーだけでなくて、将来の夢がデザイナーっていう人や、これから美大に入りたい人にオススメできるんじゃないかなと思います。この本を読んで、「もっとがんばろう」と思えた本でした。
さて次回は、「私の仕事力を上げた本」について読書したことをネタバレしていきたいと思います。